Misc.>> 小規模社会福祉施設の消防法令改正

小規模社会福祉施設の消防法令改正

長崎県のグループホームで7名が火災により死亡

 2006年1月、長崎県大村市の認知症高齢者グループホームで、深夜の火災により入所者7名が亡くなるという惨事が発生しました。これを受けて2007年6月に消防法施行令が一部改正されました。

 この改正により、認知症高齢者グループホームなど火災発生時に自力で避難することが困難な人が多く入所する小規模社会福祉施設は、消防用設備等の設置義務が強化されました。

法令改正の概要

 2007年6月13日に公布された改正法令のポイントは二つです。ひとつは防火管理者の選任義務が収容人員10名以上の小規模社会福祉施設等に課せられたこと(従来は30名以上)。

 もうひとつはすべての小規模社会福祉施設等に消防用設備の設置が義務付けられたことです。これまでは下表のように、ある規模を下回る施設には消防用設備を設置する義務はありませんでした。

消防用設備等の種類 改正前の設置義務 改正後の設置義務
自動火災報知設備 延面積300m2以上 すべて

火災通報装置
(消防機関へ通報する火災報知設備)

延面積500m2以上
消火器 延面積150m2以上
スプリンクラー設備 延面積1,000m2以上 延面積275m2以上

改正法令の施行は2009年4月1日

 改正法令は2009年4月1日に施行されました。この日以降に新築着工する施設はすべて新法令の適用を受けます。ただし、既存施設については猶予期間が設けられています。

消防用設備等の種類
新築施設への適用
既存施設への猶予
自動火災報知設備 2009年4月1日より 2012年3月31日まで

火災通報装置
(消防機関へ通報する火災報知設備)

スプリンクラー設備
消火器 2010年4月1日まで

特定施設水道連結型スプリンクラー設備

 延面積1,000m2未満の施設では、水道を利用する「特定施設水道連結型スプリンクラー設備」を設置することが認められることになり、技術上の条件も緩和されました。

 スプリンクラーは火災発生時に自力で避難することが困難な方を一人でも多く救う非常に有効な設備ですが、従来型のスプリンクラーは水道連結型スプリンクラーに比べて数倍(施設規模によってはそれ以上)の設置コストが必要になります。今回、安価なシステムが認められたことにより、スプリンクラー設備が速やかに普及することが期待されています。

 建物の位置、構造、設備等の状況によっては、スプリンクラー設備の設置を免除される場合があります。これは令32条特例(※)によるもので、消防長又は消防署長が認める場合に特例として法定の基準を適用除外されます。建物所在地の所轄消防へ問い合わせる必要があります。

※消防法施行令 第三十二条
  この節の規定は、消防用設備等について、消防長又は消防署長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、この節の規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最少限度に止めることができると認めるときにおいては、適用しない。

グループホーム等関係者の皆様へ

 今回の法令改正で、グループホーム等小規模社会福祉施設関係者の皆様はお悩みのことと思います。弊社にも数々のお問い合せを頂いております。

「そもそも何をどのようにしなければならないのか?」
「消防用設備の設置費用はどのくらいかかるのか?」
「国や地方自治体から交付金等の助成は受けられるのか?」
「実際の手続きや工事はどうやって進めていくのか?」

 このような不安に弊社が責任を持ってお応えします。設計・施工はもとより、所轄消防署との折衝や、設備運用開始後のアフターフォローまでお任せ下さい。

 一般的な設置工事の流れは以下の通りです(自治体によって申請手順等が異なります)。

1.協議書提出

自治体へ交付金適合要件等の確認書類(協議書)を提出します。その際に工事見積書が必要な場合があります。

※弊社にご依頼いただけば現地調査及び概算見積作成は無料です。

2.内 示

要件が整っていれば自治体より交付金対象である旨の内示があります。

3.設 計

施設運営者の要望や建物の構造を検討し、出来るだけ安価でかつ信頼性の高い設備となるように設計します。この設計を元に正式見積を作成します。

※工事費用は建物の構造等により大きく左右されます。例えば天井内(天井裏)の状況によって施工の手間が変わります。よって、交付金の範囲内で工事費用を全てまかなえる場合とそうでない場合があります。

4.施工業者選定

施設運営者は正式見積を徴収し、入札等により施工業者を決定します。

5.着工届

選定された施工業者に所属する消防設備士(専門の知識・技術を有した国家資格者)が所轄消防署へ着工届を提出します。消防署が工事計画を精査し問題がなければ受理されます。

6.交付申請

自治体へ事業計画書・設備仕様書等を提出します。消防署受理済の着工届の提示を求められる場合があります。申請が受理されて交付が決定するまで着工できません。

7.着 工

施設運営者と打合せの上、入居者にご迷惑のかからない工法・工程で工事を実施します。

※工事期間は施工が容易な構造の建物かどうかにもよりますが、2ユニットで約10日間ほどです(事前準備期間は除く)。

8.設置届

工事が終わり消防用設備の設置が完了した旨を所轄消防署へ届け出ます。

8.消防検査

消防署による完成検査を受けます。検査に合格すると消防署より検査済書が発行されます。

9.実績報告書提出

自治体へ工事完了に係る書類を提出します。消防検査済書の提出を求められる場合があります。

10.交 付

自治体より施設運営者に対して交付金が支払われます。

まずは、弊社までご相談下さい。TEL052-931-1751

電子メールによるお問い合せはこちらのメール送信フォームをご利用下さい。